本質的なアメリカ利上げに対する誤解
今回は海外経済の動向について記そうと思っていましたが、いろいろな人の話を聞くうちにアメリカの利上げというのをみなさん、勘違いしているのではないか?と思いその解説をしようと思います。
経済学の常道
みなさんは、その国の中央銀行が利上げを決定する場合何をイメージするのでしょうか?
その国の景気がいいから利上げをするのだろうと思っている方が過半であろうと思います。
利上げをすることは結局、景気がいいから利上げをするのだろうと思っているはずです。
だから、アメリカドルやアメリカ株を買ってアメリカ債券を売るのです。
もちろん、金利目当ての投資家は債券を買いますけどね。
海外の投資家はドルの値上がりを見込んで債券を買うという見方もできます。
私からみると、この考え方は素人ですし、現実に投資のプロや専門家までもがこの意見に同調しています。
はっきり言っておけばこういうことを言っている方々は素人以下です。
経済学の常識では、利上げをするということは景気が過熱をしすぎてそれを冷やすという意味があるのです。
つまり、利上げ直後は普通に考えれば利上げ直後はドルもアメリカ株は下がるのです。それを、上がる、上がるとはバカではないか?と思うのです。
利上げは景気を冷やすのは当たり前
つまり、利上げというのは景気を冷やすというのは当たり前で利上げ直後にドルやアメリカ株式を買うという行為はバカなのではないか、と私は思うのです。
実際にこれを書いているときが今は12月21日なるのですが、利上げ直後よりも円高、株安になっています。
これをみて専門家たちがこれからは一斉に円高、株安なんて騒動しています。
そんなものも見抜けない方は専門家を語るのではない、と私は思います。
ハイイールド市場のクラッシュは当たり前
ハイイールド債というのは、要するにS&Pなどの格付け会社が投資不適格とみなした会社や国家の債券の意味です。
一般的には、このハイイールド債はジャンク債と呼ばれ、日本語に訳せばゴミ箱という意味です。
つまり、その会社や国家に投資をしても元本を取り戻せない可能性が高いという投資体の発行する債券をジャンク債というのです。
つい先日もブラジル債が投資不適格と認定をされましたが、勘違いしないでほしいのはブラジルの債券が投資不適格になったということはブラジルの民間企業も投資不適格なのです。つまり、格付け会社はブラジルに投資なんかしちゃいけません、と言っているのに等しいのです。
そういう投資不適格の会社を寄せ集めたファンドや、投資信託を集めたくず債券をジャンク債や上品に言うとハイイールド債というのです。
こういうことを思いだすと、リーマンショックの起こった原因を考えると巣窟は一緒です。
いい住宅ローンも悪い住宅ローン保有者も一緒くたにしてそれを投資最上級のトリプルAランクの債券として売り出したのと一緒の構図です。今回のジャンク債には格付け会社は絡んでいませんが、1980年代にドレクセルがこの資金調達方法を開発して以来、ゴミ箱が宝の山になっているのですからジャンク債危機というのは相当な規模に上ります。
つまり、そういった企業や国家が資金を集めようとすると調達のコストが高くなるのです。誰だって帰ってこない可能性のある会社や国家にお金は貸したくはないのは当たり前であって、そのリスクに対応するために金利を上げなければいけません。
その上にアメリカが利上げをしたのですから、当然、ブラジルは南米になるのでドル建てで借金を募っているのです。
自動的にアメリカ利上げとともに、債券の金利も上昇します。
この利上げをするとブラジルは歳入と歳出の関係性からデフォルトする可能性があるので投資不適格になったのです。
デフォルトをするとブラジルの通貨も紙きれになりますので、その国を本拠地で営業している会社の資産も紙くずになりますので、ブラジル全体が投資不適格になるのです。
つまり、利上げというのは借金をしている会社にとってはこれから地獄絵図の始まりで過去の歴史からいえば一度利上げをしたら今後も何度もアメリカは利上げをするでしょう。そうなると、今の段階で投資不適格にされた企業、国家は将来的に投機的投資の分類にされる可能性は非常に高くなるのです。
アメリカの経営不振の会社も同じ
つまり、ブラジルの例を上げましたが、アメリカの国内もいくら景気がいいと言っても資金繰りが苦しい会社があります。
その会社が利上げをされると、自分の借金の金利が上昇して余計に経営が苦しくなります。それが結果的に会社清算や倒産となると、またそれが大規模な倒産になればアメリカ経済に大きな影響を与えるのです。
まとめ
結局、アメリカの利上げ直後に株やドルを買うことを推奨したり、実際に買ったりするのはアホというのはご理解できましたでしょうか。
いくら日銀が緩和の拡大をしたと言っても結局は下落の幅を狭めるためであって、上昇させようという意図のあるものではありません。だからマスコミ各社が報道するように規模が小さいのです。
つまり、今の状態というのは、世界で協力してアメリカの経済を下支えしようという動きなのです。