ありがとうファンドってどうなの? 特徴と評価をまとめてみました

      2017/02/28

ありがとうファンドは税理士・公認会計士の立ち上げた独立系投信であり、長期、国際分散をキーワードに厳選したファンドに投資するファンドオブファンズ形式のファンドです。

具体的にどのような特徴のあるファンドなのでしょうか。ありがとうファンドの特徴と評価をまとめてみましたので、是非参考にしてみてください。

ありがとうファンドの基本データ

ありがとうファンドの基本データです。

運用会社 ありがとう投信株式会社
設定日 2004年9月1日
信託期間 無期限
決算 年1回
申込単位 5,000円以上1円単位
購入時手数料 なし
信託報酬等 年1.7%±0.25%(概算)

投資先ファンドの信託報酬も加味した負担率

信託財産留保額 なし
販売会社 ありがとう投信株式会社

ありがとうファンドの4つの特徴

ありがとうファンドを読み解くための特徴を4つ説明します。

1.国際分散投資を行う

ありがとうファンドは国際分散投資を行うファンドです。資産配分比率の目安は2017年1月末時点での月次運用レポートによると、次のように置いています。

目標資産配分 2017年1月末時点資産配分 備考
国内株式 7% 6.6%
海外株式(先進国) 60% 47.5% 目標資産配分の約半分は米国株式
海外株式等(新興国) 28% 24.3%
その他(現金等) 5% 21.7%

国内外の株式へ主に投資を行うファンドとなります。景気変動サイクルによって、アセットアロケーションを切り替えると謳っていますが、現状債券への投資はあまりなく、過去からずっと債券への資産配分は低いままとなっており、実質株式を主な投資対象に据えるファンドであると言えます。

2.ファンドオブファンズ形式で厳選されたファンドへ投資

ありがとうファンドはファンドオブファンズの形で運用されており、様々なファンドへ投資します。機関投資家にしか買えないファンドへの投資が可能なことは大きなメリットになります。組み入れられているファンドも、海外の老舗運用会社のものが多く、金融機関の系列に属さな独立系のメリットを発揮していると言えます。

ファンドの選定基準を公開していませんが、ホームページで各投資対象ファンドのパフォーマンスを載せており、インデックスを上回る運用成績を残しているアクティブファンドを選好しているようです。

3.長期分散投資

ありがとうファンドは長期での分散投資が資産形成を行う上で重要であるとの考えの下、運用されています。

税理士、公認会計士の方が立ち上げたファンドであり、欧米の資産運用をモデルにし、さわかみ投信の澤上篤人氏の師事を仰いだという経緯でも長期投資へのこだわりが分かります。

ホームページやセミナー等でも随所で長期分散投資を懇切丁寧に説明しています。

4.購入時手数料が無料

ありがとうファンドは購入時に手数料が掛かりません。

資産形成の初めの一歩をノーロードで踏み出せる点は非常にありがたい特徴と言えます。

ありがとうファンドの中身は?

2017年1月31日時点でのありがとうファンドの運用状況を見ていきます。

資産構成 株式投資が中心 現金比率が高い状態が続いている

特徴の紹介でも載せましたが、再度資産構成比率の表をまとめてみます。

目標資産配分 2017年1月末時点資産配分 備考
国内株式 7% 6.6%
海外株式(先進国) 60% 47.5% 目標資産配分の約半分は米国株式
海外株式等(新興国) 28% 24.3%
その他(現金等) 5% 21.7%

株式への投資が中心となっています。債券への投資は、投資ファンドの中の一部のみで行われており、比率は高くありません。

リスクの高まる局面においては、現金比率を調整して対応しているようですが、ここ1~2年は現金比率は10~20%程度の水準で推移しています。

現金部分にも信託報酬が掛かっていることを考えると、目標資産配分である5%へ近付けてほしいものです。現在ポートフォリオを調整しているため、現金比率が上昇していると説明されていますが、今後の投資方針が明確に伝わってこない点は気になります。

組入ファンド 老舗機関投資家向けファンドへ投資をしているが、運用成績はまちまち

ありがとうファンドの組入上位5ファンドは次のようになっています。

組入比率 特徴
コムジェストヨーロッパ 27.6% 欧州の成長銘柄を厳選投資
キャピタルICA 22.1% 米国株式への長期投資
コムジェストエマージング 15.7% 新興国の成長銘柄を厳選投資
ABエマージングエクイティ 8.0% 新興国の割安成長銘柄を厳選投資
コムジェスト日本株式 6.9% 日本の成長銘柄を厳選投資

上位5ファンドは全て機関投資家向けのファンドです。コムジェスト(フランス)、キャピタル・グループ(アメリカ)、アライアンス・バーンスタイン(アメリカ)共に老舗の運用会社です。

ただ、組入比率第二位のキャピタルICAは運用開始以来の成績がS&P500を下回っているなど、プロが厳選したファンドと胸を張って呼べないもの含まれているというのが実態です。

ファンドの選定基準も明確では無いため、どうしても名前だけ見て買っているという印象を受けてしまいます。

ありがとうファンドの運用成績は?

ありがとうファンドははベンチマークを設定していません。ファンドは国際分散を図った株式中心の運用となっているため、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込、円ベース)と比較してみます。(2017年1月31日)。

ありがとうファンド MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス (配当込、円ベース)
トータルリターン1年 9.56% 13.95%
トータルリターン3年(年率) 7.93% 9.53%
トータルリターン5年(年率) 15.37% 18.47%
トータルリターン10年(年率) 1.72% 3.63%

全ての期間において、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込、円ベース)に運用成績が劣っています。ポートフォリオの構成比率が異なるため、厳密な比較ではありませんが、株式での国際分散投資を行う場合、インデックス運用をした方が、パフォーマンスが良かったという結果となります。

ありがとうファンドの評価は?

ここまで分析をしてきましたが、ありがとうファンドをどう評価したらよいでしょうか。

厳選されたファンドがインデックス運用に劣るという厳しい現実

運表成績の項目でお話ししましたが、国際分散投資を行う場合、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへ投資した方が、分散も効き、且つ過去のパフォーマンスも良いため、ありがとうファンドへの投資のメリットがほとんど見当たりません。

ファンドの厳選と国際分散投資を謳っておりますが、ファンドの考えもあまり伝わってこないため、とりあえず有名ファンドへ分散させているという印象が拭い去れないというのが本音です。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとするアクティブファンドを目指した方が、投資の目的も明確になり、魅力が増すような気がします。

信託報酬が割高である

ファンドオブファンズ形式のため、ファンド本体の信託報酬と投資先ファンドの信託報酬が二重に掛かるため、コストがどうしても割高になってしまいます。

ただ、年率1.7%±0.25%は他のファンドと比較しても割高の部類であり、どうしても投資する際にネックとなってしまいます。

ありがとうファンドの購入を検討すべき人

  • 国内外の機関投資家向けファンドへの投資を所望する方

あまり、積極的に購入をお勧めする理由の無いファンドであると言えます。どうしてもありがとうファンドの投資先のファンドに関心のある方は投資を検討しても良いでしょうが、それ以外に積極的に投資を検討する理由が探しにくいファンドであると言わざるを得ません。

まとめ

ありがとうファンド長期国際分散投資を行うことを目的としたファンドですが、運用成績やコストを考えると、別の選択肢も検討した方が良いと言えます。各投資先ファンドを見ると、老舗ファンドへ投資をしており、特徴的なファンドであると言えます。今後ファンドの運用方針が変わったり、信託報酬の見直しがあれば、価値が出てくる可能性があります。

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