コモンズ投信のザ・2020ビジョンってどうなの? 特徴と評価をまとめてみました

      2017/02/28

独立系のコモンズ投信株式会社が運用する「ザ・ビジョン2020」は、「2020年を起点に日本は大きく変わる」という考えの下で、中長期的な変化に着目した運用を行うというコンセプトを持ったファンドです。

具体的にどのような特徴のあるファンドなのでしょうか。同じコモンズ投信の運用する「コモンズ30ファンド」との比較も交えながら、特徴と評価をまとめてみましたので、是非参考にしてみてください。

ザ・2020ビジョンの基本データ

コモンズ投信の運用する「ザ・2020ビジョン」の基本データです。

運用会社 コモンズ投信株式会社
設定日 2013年12月27日
信託期間 無期限
決算 年1回
申込単位 販売会社による

コモンズ投信の場合は、10000円以上1円単位

購入時手数料 上限3.24%(税込)として販売会社が定める料率

コモンズ投信の場合は、なし

信託報酬等 年率1.35%(税込)
信託財産留保額 なし
販売会社 コモンズ投信株式会社 他

ザ・2020ビジョンの5つの特徴

ザ・2020ビジョンを読み解くための特徴を5つ説明します。

1.2020年を起点に起こる変化を捉え、5~10年先を見据えた運用を行う

ザ・2020ビジョンのファンド名にある「2020」には2つの意味があります。

1つ目は2020年を起点に日本は大きく変わるというコモンズ投信の考えです。2020年には東京オリンピックが開かれますが、その後は人口減少社会、超高齢化社会への突入など、現時点でも多くの変化が指摘されています。2020年からの日本で運用成績を残せるような工夫を凝らすというメッセージとなっています。

2つ目は「20-20vision」といって、20フィート(約6m)先まで見通せる「正常視力」という意味で使われる慣用句です。変化を捉え、先を見越した運用を行うというメッセージが込められています。

2020年を起点に変化の起こる日本で、常に5~10年先を見据えた運用を行うというコンセプトを持ったファンドです。

2.定量・定性評価共に着目し、変化を捉える

ザ・2020ビジョンでは銘柄選定において、定量評価と定性評価の両方を用いた銘柄選定を行います。具体的には、次のポイントに着目しています。

定量評価のポイント

  • 株価が割安な企業(PER、PBR、配当利回りなど)
  • 収益力の持続性がある企業(ROE、利益成長率、利益率など)

定量評価のポイントは割安性を重視していく点です。株価上昇によって割安性が解消された場合や、さらに割安な銘柄を発掘した場合は、投資期間に関わらず売却を行っていく方針です。コモンズ30ファンドは、収益性と未来ビジョンを大事にした長期運用を謳っていますが、ザ・2020ビジョンは割安性を重視した、よりアクティブなファンドであると言えます。

定性評価のポイント

  • 5~10年の中長期的な視点で企業変化に着目
  • 「マネジメントの変化」、「時代の変化への対応」に着目

定性評価のポイントは、とにかく変化に注目するといった点です。良い変化のあった企業の企業価値は向上するという考えの下で、変化の起点を捉えて、5~10年での企業価値向上の恩恵を受けるという投資スタンスです。こちらはコモンズ30ファンドの見えない価値を重視するという投資方針と共通する部分があります。

ただ、コモンズ30ファンドは30年目線であるのに対し、ザ・2020ビジョンは5~10年という言葉が頻繁に出てきます。ザ・2020ビジョンの方が、短期的な動きを重視するファンドであると言えます。

3.厳選した50社への投資

コモンズ投信株式会社の特徴とも言えますが、運用銘柄数を絞った運用を行います。ザ・2020ビジョンでは厳選した50銘柄への投資を行います。

50銘柄ですと、他のアクティブファンドでも、同水準の銘柄数で運用しているファンドも多くあります。しかし、敢えて50銘柄に厳選すると謳うことで、インデックスとは異なる値動きを目指すという意図をより強調しているようです。

また、コモンズ30ファンドの30銘柄よりは多いですが、これはザ・2020ビジョンの方が、短期的な目線での運用であり、銘柄の入れ替え頻度も多くなるためであると考えられます。

4.下落局面では現金比率を大きくする等のダイナミックな運用を行う

ザ・2020ビジョンは収益の最大化を目指し、株価下落が想定される局面では、現金比率を高めるような運用を行います。

直近のポートフォリオ構成比の変化を見ても、その傾向がよく分かります。

株式等 現金等
2017年1月末 99.4% 0.6%
2016年10月末 64.6% 35.4%
2016年6月末 77.0% 23.0%

直近の2017年1月末は相場状況も良く、ほぼ全ての資産を株式で運用しています。しかし、イギリスのEU離脱の国民投票後の2016年6月末や米国大統領選挙直前の2016年10月末は現金比率を大きく高めていることが分かります。

ザ・2020ビジョンは収益の最大化を目標として、運用されていることが分かります。

コモンズ30ファンドは厳選された30銘柄への長期投資を前提としているため、ポートフォリオ構成比にここまで顕著な上下は見られません。この点が、ザ・2020ビジョンの特徴であると言えます。

5.購入時手数料が無料

コモンズ30ファンド同様、ザ・2020ビジョンも独立系投信であり、コモンズ投信株式会社での直販ルートの場合、購入時に手数料が掛かりません。

販売会社によっては手数料を課すケースもあるため、購入の際はコモンズ投信で口座開設しての購入がお勧めです。

ザ・2020ビジョンの中身は?

2017年1月31日時点でのザ・2020ビジョンの運用状況を見ていきます。

資産構成 直近ではほぼ全ての運用資産を株式へ投資

資産構成比率は次のようになっています。

株式 99.4%
現金等 0.6%

直近は国内株式へほぼ全ての資産を投資しています。

ただ、ザ・ビジョン2020は下落局面では現金比率を大きくするという運用を行っており、今後の相場状況次第では現金比率を大きく高める運用に切り替える可能性もあります。

市場別組入比率 マザーズ銘柄へも一部投資

市場別組入比率は次のようになっています。

東証1部 89.8%
マザーズ 9.5%
現金 0.6%

東証一部銘柄が中心ですが、1割程度マザーズ銘柄への投資も行っています。

コモンズ30ファンドはほぼ全ての資産を東証一部銘柄へ投資しており、こちらはザ・2020ビジョンの方が銘柄選定の幅があることが分かります。

組入銘柄 金融株の比率が高く、短期的な収益性を重視したような構成

ザ・2020ビジョンの2016年12月30日時点での組入上位5銘柄は次のようになっています。

三井住友フィナンシャルグループ 6.5%
野村ホールディングス 6.2%
三菱UFJフィナンシャル・グループ 5.1%
みずほフィナンシャルグループ 5.1%
CYBERDINE 5.1%

上位を金融銘柄が占めています。他の長期投資を謳う独立系投信は金融株の比率が高くないものが多い中、かなり偏った銘柄構成であると言えます。

理由は開示していませんが、下記であると推測されます。

  • 金融株全般的に割安である
  • 相場上昇局面で景気敏感株である金融銘柄の比率を高くしている
  • トランプ大統領の規制緩和の恩恵を受ける業界であると見ている

あくまでも推測ですが、ザ・2020ビジョンは短期的な収益性を追求するために、今の局面で金融銘柄を増やしている可能性があります。コモンズ30ファンドが未来コンセプトに金融関連のワードが無く、金融銘柄へ投資していないこととは対照的です。

ちなみにCYBERDINEはマザーズ上場のロボットスーツベンチャー企業です。

これらの銘柄選定を見ても、ザ・2020ビジョンは短期的な収益性を重視していると見て取れます。

ザ・2020ビジョンの運用成績は?

ザ・2020ビジョンはベンチマークを設定していませんが、東証1部銘柄中心の運用であるため、TOPIX配当込み指数と比較してみます(2017年1月31日)。

ザ・2020ビジョン TOPIX(配当込み)
トータルリターン1年 7.86% 8.61%
トータルリターン3年(年率) 9.96% 9.84%

運用開始から3年程度しか経っていないファンドですが、過去3年間の運用成績ではTOPIX(配当込み)を僅かに上回っています。

ザ・2020ビジョンは投資の中身を見てみると、短期の収益性追求を目指したような構成になっており、現金比率の調整も行っていますが、直近1年間のリターンがインデックスに劣っていることは褒められたことではありません。

2020年を起点とした変化を捉えるファンドと謳っており、真価を発揮するのは2020年以降である可能性もありますが、現時点では頻繁な売買を行っている割にはインデックスと同等程度の運用成績しか残せていないと言わざるを得ません。

ザ・2020ビジョンの評価は?

ここまで分析をしてきましたが、ザ・2020ビジョンをどう評価したらよいでしょうか。

2020年を起点とした変化を捉えるというコンセプトに期待

ザ・2020ビジョンは現時点ではインデックスと同等程度の実績しか残せていません。2020年を起点とした変化を捉えるというファンドコンセプトは面白い視点ですが、現状は資料を読み込んでも、2020年以降の投資のビジョンがはっきり伝わってきません。

2020年以降の運用方針が今後明確になれば、再検討の必要がありますが、現状はノーロードのアクティブファンドであるという点以上の価値はあまり無いように感じます。

ザ・2020ビジョンの購入を検討すべき人

  • 2020年以降の社会の変化を捉えた運用を考えるファンドをお探しの方
  • ノーロードの機動的なアクティブファンドをお探しの方

コモンズ30ファンドの方が、運用方針と投資哲学が明確にファンドに反映されており、コモンズ投信株式会社の良さが出ているので、是非比較検討してみてください。

まとめ

ザ・2020ビジョンは2020年を起点とした変化を捉えるファンドあるという意欲的なコンセプトが設定されています。現時点での運用成績はインデックス並みとなっていますが、今後明確なビジョンを持った運用を行っていく場合は、面白いファンドになる可能性を秘めています。ザ・2020ビジョンが少しでも気になった方はコモンズ投信株式会社のホームページを覗いてみてください。

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