コモンズ投信のコモンズ30ファンドってどうなの? 特徴と評価をまとめてみました
2017/02/28
独立系のコモンズ投信株式会社が運用する「コモンズ30ファンド」は、「30年という視点を持った運用を行う」というコンセプトの下、2009年より運用を行っています。2015年にはR&Iファンド大賞も受賞していますが、一体どのようなファンドなのでしょうか。
コモンズ投信の運用する「コモンズ30ファンド」の特徴と評価をまとめてみましたので、是非参考にしてみてください。
このページの目次
コモンズ30ファンドの基本データ
コモンズ投信の運用する「コモンズ30ファンド」の基本データです。
運用会社 | コモンズ投信株式会社 |
設定日 | 2009年1月19日 |
信託期間 | 無期限 |
決算 | 年1回 |
申込単位 | 販売会社による
コモンズ投信の場合は、10000円以上1円単位 |
購入時手数料 | 上限3.24%(税込)として販売会社が定める料率
コモンズ投信の場合は、なし |
信託報酬等 | 年率1.35%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
販売会社 | コモンズ投信株式会社 他 |
コモンズ30ファンドの7つの特徴
コモンズ30ファンドも独立系投信として様々な特徴を持ったファンドです。コモンズ30ファンドを読み解くための特徴を7つ説明します。
1.30年の目線を持った長期投資
コモンズ30ファンドの第一の特徴は、投資の目線を30年と置いた長期投資です。ファンド名にも30という数字が入っていることからもこだわりが伝わってきます。資産を作りながら、日本の良い企業を応援し、子や孫へ伝えるというコンセプトを持っています。
長期投資を訴える投資信託は多いですが、30年という具体的な目標を立てている投資信託は多くはありません。具体的な目標に向かった意欲的なファンドであると言えます。
2.厳選した30社への投資
コモンズ30ファンドの30という数字には、30年以外にもう一つの意味があります。それが、厳選した30社への投資というコンセプトです。
コモンズ30ファンドは、投資銘柄を30社程度に厳選して投資を行います。30社程度に絞り込むことで、インデックスとは異なる値動きをすることを目指しています。
ベンチマークも設けていないため、絞り込んだ30社で長期的にインデックス運用を大きく上回ることを目標としているという特徴があります。
3.長期的な成長の期待できるテーマ「未来コンセプト」への投資
コモンズ30ファンドは長期投資にあたり、長期的な成長の期待できるテーマへ投資を行います。長期的な成長期待の持てるテーマを「未来コンセプト」と呼んでいます。現在の未来コンセプトは次の10テーマです。
- 資源・エネルギー
- 新素材
- 精密テクノロジー
- ウェルネス
- 生活ソリューション
- 社会インフラ
- 未来移動体
- 快適空間
- 地球開発
- ライフサイクル
これらのテーマに沿った銘柄を選別しており、テーマ型投信の集合体とも言えます。長期的な成長可能性の高いテーマへ集中投資を行うという特徴を持ったファンドです。
4.独自の5つの軸による銘柄選定
コモンズ30ファンドは未来コンセプトへ合致する企業の中で、次の5つの軸を重視して銘柄選定を行っています。
- 収益力・・・営業利益率、ROEを重視
- 競争力・・・独自の競争力を持った企業を重視
- 経営力・・・長期的なビジョンを持った経営とその透明性を重視
- 対話力・・・顧客、従業員、取引先、株主、社会などとの積極的な対話姿勢を重視
- 企業文化・・・明確な企業文化とその浸透を重視
収益力以外の4項目は数字に表れない見えない価値となっています。徹底した調査と、企業との対話によって、これらの価値を判断しながら銘柄選定を行います。こういった見えない価値を重視することで、長期的に成長する企業を選別しており、一般的な投資信託とは異なる、独自のポートフォリオを築いていくのです。
5.企業、投資家との対話を重視するファンド
コモンズ30ファンドの資料やホームページには、「対話」という単語が多く出てきます。企業、投資家との対話を重視しており、投資先企業との対話を行うだけでなく、説明会やイベント、ホームページで投資家との対話を積極的に図っています。更に、投資先企業と投資家との対話を促すためのイベントも開催しています。
投資家にとっては、参加型のイベントやホームページでの情報提供など、様々な対話の場が用意されており、このファンドの特徴の一つとなっています。
6.R&I2015 NISA国内株式部門 優秀ファンド賞受賞
コモンズ30ファンドは格付投資情報センターのR&Iファンド大賞において、2015年にNISA国内株式部門で優秀ファンド賞を受賞しています。
NISA向けに利用される投資信託の中での運用成績を評価されています。
7.購入時手数料が無料
独立系投信のコモンズ30ファンドはコストの安さも魅力の一つです。特にコモンズ投信株式会社での直販ルートの場合、購入時に手数料が掛かりません。
販売会社によっては手数料を課すケースもあるため、購入の際はコモンズ投信で口座開設しての購入がお勧めです。
コモンズ30ファンドの中身は?
2017年1月31日時点でのコモンズ30ファンドの運用状況を見ていきます。
資産構成 ほぼ全ての運用資産を株式へ投資
資産構成比率は次のようになっています。
株式 | 98.6% |
現金等 | 1.4% |
国内株式へほぼ全ての資産を投資しており、一般的な国内株式投信だと言えます。
市場別組入比率 ほぼ全ての運用資産が東証一部銘柄
市場別組入比率を具体的に開示していませんが、投資先銘柄をチェックすると、ほぼ全ての運用資産を東証一部銘柄で運用しています。
組入銘柄 中・大型株が大半を占める
コモンズ30ファンドは未来コンセプトと5つの軸による銘柄選定を行っております。2017年1月31日時点での組入上位10銘柄は次のようになっています。月次での構成比率は開示していません。表の右側は未来コンセプトのテーマとなります。
東京エレクトロン | 精密テクノロジー |
信越化学工業 | 新素材 |
日東電工 | 新素材 |
クボタ | 地球開発 |
ダイキン工業 | 快適空間 |
ディスコ | 精密テクノロジー |
日立製作所 | 社会インフラ |
堀場製作所 | 精密テクノロジー |
コマツ | 地球開発 |
デンソー | 未来移動体 |
中・大型株が多く、メジャーな銘柄へ多く投資しているようです。しかし他のファンドと異なるのは、見えない価値まで考慮し、長期的な成長を見込んだ結果の選定であるということです。ちなみに、現在の運用銘柄数は30銘柄ぴったりとなっています。
コモンズ30ファンドは投資銘柄の評価しているポイントをホームページに載せていますので、上位3銘柄のみ非常に簡単に紹介します。
- 東京エレクトロン株式会社・・・半導体チップの将来性と活力を生む企業文化を評価しています
- 信越化学工業株式会社・・・収益性の高さと独自技術を評価しています
- 日東電工株式会社・・・柔軟性の高さを活かした長期的な成長期待を評価しています
銘柄選定において、長期での成長という観点を大事にして5つの軸を当てはめています。コモンズ投信のホームページには他の投資銘柄の評価しているポイントも載っていますので、是非ご覧になってください。長期での成長期待が高いのはどの企業なのか、コモンズ投信独特の考え方が分かります。
コモンズ30ファンドの運用成績は?
コモンズ30ファンドはベンチマークを設定していませんが、東証1部銘柄中心の運用であるため、TOPIX配当込み指数と比較してみます(2017年1月31日)。
コモンズ30ファンド | TOPIX(配当込み) | |
トータルリターン1年 | 13.92% | 8.61% |
トータルリターン3年(年率) | 11.15% | 9.84% |
トータルリターン5年(年率) | 17.12% | 17.46% |
過去5年間の運用成績ではTOPIX(配当込み)に劣っていますが、直近1年、3年はTOPIX(配当込み)を上回っています。
コモンズ30ファンドは投資の目線を30年に置いており、銘柄も30銘柄程度と選別しています。過去5年の運用成績はTOPIXとそこまで大きく差は開いておりませんが、今後10年、20年と経つにつれて、差が開いていく可能性があります。逆に言うと、ここから差が開かなければ、コモンズ30ファンドの運用は失敗であったと言わざるを得ません。
足下の運用成績はTOPIX(配当込み)と大きく差が開いておらず、基準点ギリギリ。今後の運用成績で真価が問われるファンドであると言えます。
コモンズ30ファンドの評価は?
ここまで分析をしてきましたが、コモンズ30ファンドをどう評価したらよいでしょうか。
30年の視点を持った長期投資へ理解のある方が対象
コモンズ30ファンドは大前提として、30年という長期投資を前提に運用が行われていることを理解した上で投資をする必要があります。短期的なリターンを重視する場合は、別の商品への投資をお勧めします。
30銘柄へ厳選して投資を行っているため、銘柄選定の成否で今後TOPIX等のインデックスと大きくかい離したリターンを残す可能性があります。短期的なリターンは気にせず、長い視点で投資を出来る方は投資をしてみる価値はあります。
コモンズ30ファンドの購入を検討すべき人
- 長期投資での資産形成を望み、短期的な株価の上下を気にしたくない方
- インデックス投資では面白みが無いと感じる方
- コモンズ投信株式会社の運用姿勢に共感を得られる方
また、30年いう期間は非常に長いので、次のことに気を付けてください。
コモンズ30ファンド投資の際の注意点
- 資産の一部のみの投資に留める
- 定期的に運用資産残高をチェックする(極端に減少していないか)
- 定期的にTOPIX等との運用成績を比較してみる
30年という期間で投資を考えるというファンドの哲学は素晴らしいですが、資産を預けっぱなしにするのではなく、投資家自らが定期的に運用状況等のチェックを行い、資産管理を適切に行うようにする必要があります。
まとめ
コモンズ30ファンドは30年、30銘柄という独特の数字を設定し、運用を行うユニークな商品です。銘柄を絞った運用で30年後の投資成績がどうなるのかといった点は非常に気になる所です。コモンズ30ファンドが少しでも気になった方はコモンズ投信株式会社のホームページを覗いてみてください。