投資家が不安視していること

   

投資家の「夢」と不安視をすること

今投資家が不安視していること

―リーマンショックの出口戦略は始まったばかりー

 

リーマンショック?何年前の話をしているのですか?

という投資家さんは結構な数がいると思います。

 

しかし、私たちプロはまだまだ、世界の金融システムはリーマンショックから立ち直っていないというのが共通の認識になります。

 

■本当に金融システムは立ち直っていないのか?

その証拠に、毎年、この4月の後半からギリシャの債務危機問題が必ず再燃をします。

もう、これは、リーマンショック後の恒例行事で聞きあきていると思います。

このギリシャ問題は、毎年、クリスマス前後まで続きますよね、毎年。

いい加減、ウンザリな気分になってくるのですが本当にギリシャが倒れたら、ユーロ存亡の危機に関係しますので大問題です。

 

確かに、リーマンショック後に持ちあがったアメリカの債務危機はもうすでに解決したように思えます。

アメリカの金融大手ゴールドマンサックスは公的資金の返済を終えましたし、GMは再上場。

シティバンクに至っては日本の富裕層向けに積極的に金融商品を販売しています。

ファニーメイなどの住宅金融専門会社の再建にメドが立っています。

 

しかし、このアメリカ債務危機に対して、資金を供給し続けたのはアメリカ政府ではなくアメリカの中央銀行、FRBになります。

しかも、その金融政策はアメリカ政府の債券の買い取りという、「量的金融緩和」でした。

 

その量的金融緩和をQE1からスタートし、QE3までやったので膨大なアメリカ債券がFRBの金庫に眠っています。

それが、終了したのは去年の10月です。

 

しかし、この「終了」という言葉にみなさん惑わされてはいけません。

 

実は、このQEという金融政策の国債の買いとりが終了したのであって、QEの金融政策はまだ続行しているのです。

 

ですから、アメリカの中央銀行、FRBの認識はまだまだこれから、リーマンショックの後始末は、という認識になるのです。

 

■日米欧の金融政策はリーマンショックを引き継いだまま!

日本は、2013年4月に俗に「黒田バズーカ」といわれる量的金融緩和政策を発動しています。

ECB、ヨーロッパ中央銀行に至っては今年の3月にやっと量的金融緩和政策を実施したありさまです。

 

アメリカが2009年3月にQE1をスタートさせたのと違い、もう「病的な遅さ」です。

参考までにリーマンショックが起こったのは2008年9月になります。

 

この致命的な遅さがリーマンショック後の経済の回復の遅さにつながっています。

日本の場合は、その間、あの東日本大震災が2011年3月に発生しているという事情もありますが、言い訳にもなりません。

また、日本の大手都市銀行がバブル崩壊とその後の金融危機で注入された公的資金の返済が、東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行ともに、終了したのは、2013年です。

りそな銀行に至っては、未だに返済をしている状況です。

 

■アメリカの今後の金融政策

よく、最近では、アメリカの利上げがニュースになります。

しかし、これは大した問題ではありません。

私ども、プロからみると、アメリカが利上げをしたら過去の経験則からたぶん、世界の株価は崩落するでしょう。

しかし、また上昇します。

 

そのアメリカの利上げに対して世界の投資家は不安を覚えているのです。

また、アメリカが利上げしたら、新興国経済はまた、下落をするでしょう。

昨年10月のロシア危機は、結局、アメリカがQE3を終了したことを端緒とする問題です。

これと、原油安、天然ガス安がトリガーになったのです。

 

今の、中国出資によるAIIB銀行創設の問題もこれが端緒なのです。

IMF、世界銀行イコール、アメリカなのです。

アメリカの金融緩和によってジャブジャブになったドルは主に新興国市場に向かっています。

アメリカが利上げをすれば、その資金は金利があって信用のあるドルに回帰をしていきますので、新興国経済がズタズタになります。

かつてアメリカが利上げをして起こった危機としては「東南アジア通貨危機」が挙げられます。

南米でよく話題になるアルゼンチンやメキシコのテキーラ危機等もアメリカの利上げがきっかけです。

 

アメリカが利上げをしたときにIMFや、世界銀行が融資を増強してくれたか?というと答えはNOなのです。

だから、中国は、二度とあのような危機は二度とゴメンだ、と言って中国出資の銀行を作ろうとしているのです。

 

日本はアジア開発銀行の創設によって、東南アジア通貨危機を体験して東南アジア各国を支援しています。

たまに、聞いたことがある方はあると思いますが、新聞紙面上に「チェンマイ・イニシアチブ」というのが掲載されます。

この協定は、実は、東南アジア通貨危機のようなことが二度と起こらないように、日本が資金援助をするという協定なのです。

 

ですから、アメリカは自分の存在意義が否定されるAIIBには反対ですし、日本は東南アジア危機の反省を踏まえてその対策をやってきたという自負がありますから、反対なのです。

日本とアメリカは中国が嫌いだからとか、くだらない理由で参加を見送っているわけではないですし、中国としてはこれから必ず、危機が訪れるということを踏まえて、そういった銀行を創設しようとしているのです。

 

ですから、もっとも被害甚大であった、韓国。

この国は東南アジア通貨危機のときにIMFの管理下に入りました。

ですから、いの一番の参加を表明したのです。

ドイツやイギリスも東南アジア通貨危機によって甚大な被害を受けたのです。

 

中国はもうすでに、認識をしていると思いますが、FRBの利上げなんて念頭にありません。

むしろ、FRBがアメリカ国債を放出することを懸念しているのです。

アメリカ国債を放出すると、日本も中国もアメリカ債券の世界最大の保有者になりますので、心配をして日本はアジア開発銀行、中国はAIIBでその対策を練ろうとしているのです。

 

日本の報道はまともなことを報道していないのが、よくわかりますでしょ。

中国は自国の利益のためではなくアジアの利益のために銀行を創設しようとしているのです。

そういう意図をきちんと報道している会社もネットも何一つありません。

 

■危機、危機といいますが、悲観的にならないように。

上記のように、アメリカが利上げをしたとき、FRBが保有のアメリカ債券を放出したときは、過去の経験則から間違いなく、世界的な危機がやってくると思います。

 

しかし、リーマンショックやあの、東日本震災があれほどの被害になったのか?を考えてみてください。

「意図していないときにその危機がやってきたから大きな被害になったのです」

 

たとえば、報道で、明日は大雪になりますので、注意してください、と呼びかけると大した被害にはなりません。

ところが突然の大雪や大雨などは簡単に大きな被害になります。

 

今回やってくるであろう危機は、予想の範疇の危機ですので大したことにはなりません。

一時的に大きく株価や世界の金融市場が混乱をしますが、また元の上昇トレンドに回帰していきます。

■もっと考えてほしいのは。

現在の株価は、値段の上ではアメリカの株価は、リーマンショック前の値段を抜いています。

しかし、アメリカの金利がゼロというように、まともな経済状況ではありません。

 

株価の段階でいえば、世界の株価は、まだ、よちよち歩きの赤ん坊の状態です。

そのよちよち歩きの赤ん坊でリーマンショック後の安値から株価は2.8倍になっているのですから。

 

考えようによっては、株価はリーマンショックの安値から10倍、20倍になってもおかしくはないのです!

つまり、まだまだ、「長い目」でみておけば、株は高いよ、ということです。

 

危機があるとわかっていれば、人は備えるものです。

巨大地震があるとわかっていて、準備をしない人はいないでしょう?

それと、一緒のことです。

 

世界はアメリカ経済が正常状態に戻る過程において、経験則から必ず危機が起こると準備をしているのですから大したことにならないよ、というのが本音です。

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