ヨーロッパの量的緩和は始まったばかり

   

日米欧の金利急騰

以前に、本当に強い経済というのは、金利も高く、株も高い、通貨も高い状態のことをいうのである、という話をしていると思います。

途中から参加したセミナーの方々や、ブログ等の記事の方は聞いたり、読んだりしていないかもしれません。

ただ、話の端々には常に今の先進国経済は金利が安くて経済が上向いていることはおかしいでしょう。

と、何度も記していると思います。

■日本経済の場合
昨今、日銀の追加量的緩和実施を求める声が政府の審議委員から上がっています。
みなさんもご存じのように、ヨーロッパの投資銀行からも追加緩和を求める声が上がっています。

あまり、ご存じがないようですがIMFからも中国の人民元の改革とともに、日本の量的追加緩和を求める勧告も行われています。

私は日銀による量的追加緩和の実施というのは甚だ疑問に思います。

昨年、10月の追加緩和というのは、
① 日本が再びデフレに陥る可能性があった
② 欧米からの批判を避けるために、アメリカのQE3を終了した時点で追加緩和をした

という、この二点で追加緩和を実施したと思います。

今回の緩和に関しては、②の視点が全く抜け落ちています。
もちろん、IMFのラガルド専務はアメリカの代表としてBOJに追加緩和を求めたと思いますが、日本の異次元緩和導入時には、アメリカもヨーロッパ経済もまだまだ立ち直る気配もなかったから、という見方もできます。

また、今年1月のECB量的緩和の実施に際しての最大の決定理由は消費者物価指数が下落を続けデフレ経済に陥る可能性があったということにあります。

さて、今回の緩和の実施に関しては。
① 日本が再びデフレに陥る可能性はあるのか?
② 海外で緩和によって通貨安を導き、それが非難の対象になるのではないか?
の二点になります。

1. 日本のデフレに関しては、4月の消費者物価指数がほとんど「ゼロ」になった。
見方によっては今後、マイナスになる可能性がある、という見方から今後デフレになる可能性があります。

しかし、今後の物価上昇に関しては、完全に消費者物価指数の伸びがゼロになる可能性は非常に少ないということです。

OECDによる、日本の景気先行指数は5カ月連続でプラスです。

また、このデフレに関してイエレン議長も明言するように長期金利は金利があるとはいえ、長期国債を保有しても投資家にとっては何のメリットもないことがデフレの原因ということを明言しています。

この発言によって世界の長期金利が上昇したことが、物価上昇率の上昇につながると思います。

たとえば、ディズニーランドが株主資本だけでテーマパークの拡充を行うのはほぼ不可能だと思います。

かならず、長期におカネを借りて建設費をまかなっているはずです。
その借りる需要があるのに、実際の借入金利はゼロに近い状態です。

ですから、企業は無理をしておカネを稼ぐ必要はないと思います。
なぜなら、10年の借入を行った場合、日本の10年国債の金利は4パーセントですから10年のうちに4パーセント以上の物価上昇がなければ実質、借金を減免されているのと一緒です。
今の状態で、物価上昇が4パーセントに抑えられることはないというのが普通の感覚になると思います。

今の状態は、実質、おカネを借りたほうが借金は減免されるのですから借り放題の訳です。
これでは、金利が上昇するはずがないですよね。

先のドイツ国債の急騰や、アメリカのイエレン議長の発言の意図、日本国債の金利上昇はそういう意味があったのです。

つまり、これから金利は上昇していくということになります。
① においては、追加緩和の実施の理由がなくなったのです。

海外の日銀の緩和に対してのアレルギーは、
特にヨーロッパはギリシャ問題等で紛糾していた2012年ころとは違い相当和らいでいると思います。

しかし、BOJの見解は、追加緩和は財政ファイナンスなのですから、実質上の。
できれば、やりたくないのです。

物価も長期金利の上昇によって、上昇する可能性が今後上がる期待があるわけですからやるわけがないと思います。

欧米の場合

アメリカ経済は先の4/30発表のGDP速報値は衝撃の数字でした。
この原因をイエレン議長もIMFもその原因が当初「ドル高」に原因があると発言をしています。

その後、5/6にイエレン議長は株が高すぎるという発言の意図は前回に説明しましたよね。
長期金利が安いというのは金利が高くなったときに、アメリカの利上げをする時期になるという説明をしました。

しかし、アメリカ経済の株価を除く先行指標は悪い、一言で片づけられると思います。
設備投資や購買担当者指数等の数字は悪化の一途です。

また、先月の非農業者部門の新規雇用者数は市場予想通りになりましたが、雇用というのは景気指標では遅行指数です。

ですから、今後の雇用関係の指標は、悪くでるはずです。

ヨーロッパは、アメリカドルのドル高訂正相場によってユーロ高になります。
ユーロ高に絶大な被害をこうむるのは主にドイツになります。

ですが、まだユーロ圏の貿易統計等の指標はユーロ高になってからのものは出ていませんので評価できないというのが妥当な見解になると思います。

ただ、ヨーロッパの量的緩和は始まったばかりで
その効果は過去の経験則からは6カ月くらいはもつと思いますので、それほどの悪化はないと考えるのが妥当な考え方になると思います。

■先進国経済は結局

冒頭にもご紹介しましたように、日米欧の金利は上昇し、通貨は強く、そして株価も上昇をしてきています。

日本の事例でもご紹介したように、金利、特に長期金利が上昇するということは、世界全体の景気はよくなってきているということになります。

つまり、世界の景気をリードする先進国経済が軒並みよくなってきているということです。

今は、日本経済がよかったけど、少し前まではアメリカになります。
そして日本の成長が止まるときもあるでしょう。
そうなると、今度はヨーロッパがよくなるでしょう。

どこかが少し躓いても、またよくなるので循環経済に入ったともいえると思います。

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