実行為替レートと連動する指標とは

   

実行為替レート

6/10の衆議院金融委員会で日銀の黒田総裁が、「実行為替レート」においてこれ以上円安にいくことはないと思う、と発言したことを受けて東京市場のインターバンクレートは一気に円高方向へと流れました。

その後、甘利経済再生担当相が「日銀の黒田総裁の発言を市場が誤解を受けて反応している」と日銀の黒田総裁発言を打ち消しにかかっています。

■日銀、黒田総裁の真意

これは、赤い線は一カ月平均のドル円のスポットレート
青い線は実行為替レートになります。

この赤い線と青い線はそれぞれ↓にいくと円安方向にいくものです。
赤い線の軸の値段表示はありません。

また、緑の線は貿易の輸出、輸入のさっぴきの数字になります。

まず、この赤い線と青い線を比較してみると、まったくもって実際のドル円相場と、青い線の実行為替レートに大きな相関性は認められません。

また、青い線の実行為替レートは1980年以降、最も安い値段になっています。
参考までに、実行為替レートの最高値は日本のバブル崩壊前の1994年になります。

この実行為替レートは2015年の2月が最安値になるのですが、これ以上、黒田総裁は円安になることはない、と明言をしたのですが、市場は相関性があまり認められない、実際のスポットレートが円安にこれ以上なることはない、と勘違いをして円高になったということがうかがえます。

ですから、甘利経済再生担当相は「市場が勘違いをしている」と表現しています。

では、実行為替レートは何に一番影響があるのかを考えれば簡単で、輸出入のさっぴきに一番値段が酷似しているというのがわかります。

つまり、実行為替レートは輸出入に関わる数字によって変動をするということになります。

つまり、輸入超過になると、実行為替レートは円高になり、その逆になると円安になる傾向があるというのが見て取れます。

黒田日銀総裁の意図はこれから日本の為替実行レートが円安になることはない、と断言しているのはこれからは日本の貿易収支、経常収支等の貿易に関する統計は、赤字になりますよ、と宣言したのです。

これは、裏を返せば、戦後日本は、ずっと貿易赤字が続いたのですが、小学校でも習うように加工貿易と、国内の内需拡大が輸出のそれを上回ると宣言したようなものです。

つまり、日本の戦後復興と同じような成長が見込めます、と答弁をしたのです。

おそらく、実行為替レートと、ドル円相場はほとんど変わらないと思っている人がほとんどですので、議員さんたちもマーケット参加者も勘違いしたことを、甘利経済再生担当相が解釈している意味が違いますよ、とフォローをしただけの話です。

甘利経済再生担当相の真意

甘利経済再生担当大臣が、黒田日銀総裁の発言を受けてわざわざ円高にいったものを修正するような発言をするということは、125円近辺までいったドル円相場に満足はしてはいない、という意味になります。

本来では国際社会では為替レートには一切コメントをしないというのがルールになります。
この通貨安競争に陥っている現状では、自国通貨安を誘発するような発言に対してはかなり、批判が高まります。

先日も、オバマ大統領がフランス政府にドル高の懸念を表明したという噂話が出回りましたが、すぐさま、当局が打ち消しにかかりました。

つまり、自国通貨高を容認できない、ということは、自国通貨安にしてほしいと公式な場所でコメントするのに等しい行為になりますので必死に否定をするのは当たり前です。

しかし、日本の閣僚は平気でそれをやります。
今回の甘利さん発言は、完全に捉え方によっては円安誘導の発言になります。

それだけ切羽詰まった状況があるということが想像するのには難しくはない話だと思います。

■切羽詰まった状況とは?

実は前回、安倍さんが政権を投げ出した?、ないしは首相を退任した理由は、自身の病気のためもありますが、海外ファンドが破たんし、株価が急落したことが原因です。

短期間に2000円以上、株価が急落し、支持率も下がったために安倍さんは自身の病気もあって辞任をせざるを得ない状況になったのです。

結局、小泉政権が、長く安定した支持率を誇ったのは株価のためだと私自身は思っています。

わかりやすいフレーズですとか政策ももちろん、あったとは思いますが、一番、小泉政権が長期政権になったのはひとえに株価のおかげと思っています。

安倍さんも長期政権を目指し、アベノミクスの完成と、安保法制、改憲と続けるのが自身の政治家の役目と認識をしているのでしょう。

ですから、株価の動きには敏感になりますし、同時に円安方向にいかないと株価が上昇しないという頭があるので、円安方向にいってほしいという政権の思惑があるということが図らずしも露呈をしてしまいました。

■政府、自民党は、円安、株高賛成

タイトル通りなのでしょうが、浜田内閣府参与のように、円高にならなくてはいけない、というのが普通の金融有識者の意見になります。

今回の黒田日銀総裁の発言は、ドル円がもっと円高に行ってほしいという発言ではなく、日本はこれからもっと成長しますよ、というメッセージに他なりません。

ですから、為替相場には何も関係がない、ことになります。

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